ラーメンについて

こだわりの器 — 函館工芸舎が織り成す貝だし塩ラーメンの舞台

「養和軒ぷらす」の塩ラーメンには、一杯の味だけでなく、それを包む器にもこだわりが息づいています。器は、歴史ある建築を活かしたギャラリー工房 はこだて工芸舎 にて、丁寧にひとつひとつ手仕事で作られています。昭和初期の商家を改装した建物の趣ある空間と、やわらかな手触りやぽってりとしたフォルムが特徴の「函館カラー」の陶器たちは、器自体が函館の文化を語る存在です。

特に当店のラーメンに使われている器には、アカシア(ニセアカシヤ)のモチーフが描かれています。このデザインは、かつて函館の街路樹として親しまれていたニセアカシヤを象徴しています。昭和初期、大火を経た復興期に街路緑化の一環で数多く植えられ、防火帯や景観形成に一役買ったのがニセアカシヤでした。

その後、植栽傾向は変化しましたが、街の緑と暮らしのつながりを今に伝える象徴としてのアカシアは、特別な意味を持ちます。その姿を器に表現することで、ラーメンを手にすすったお客様にも、函館という土地の“記憶”や“風景”を感じていただけるように意図しました。

器の色味や質感、そしてアカシアの絵柄が織りなす豊かな表情は、貝だし塩スープの透明感と相まって、味わいをより深く引き立ててくれます。そして、それは単なる“容れ物”を超えて、函館の風土と歩んできた物語をそっと語りかける存在となっています。