お店について

明治17年(1884年)の函館に息づいた「養和軒」の歴史

函館では、国内最古級のラーメンを思わせる記録として、明治17年(1884年)に函館新聞に掲載された「南京そば15銭」の広告が知られています。これは、洋食店「養和軒(ようわけん)」が提供していたメニューとされ、函館におけるラーメンのルーツを探るうえで重要な手がかりです 。

この「養和軒」は華僑(広東省出身)の陳南養(ちん あよん)氏によって開かれた洋食店でした。彼は函館イギリス領事館専属の料理人も務めており、函館港開港に伴って多くの華僑が訪れていた時代背景のなかで、洋食文化を函館にもたらした先駆者の一人です。

広告に登場した「南京そば」は、透明であっさりとした塩味に、中華麺を合わせた汁麺だった可能性があります。現在の函館ラーメンの特徴である「澄んだスープ」と「細いストレート麺」の原型ともされ、函館塩ラーメンの歴史をひも解く鍵として注目されています。

ただし、当時のレシピや詳しい調理法に関する資料は残されておらず、「南京そば」が現代のラーメンにどのように繋がるかについては確定的な証拠は少ないのが現状です。